「ドバイは税金がゼロ」。
そう聞いて、移住や投資を考える方は多いはずです。
結論から言うと、この話は半分だけ本当です。
給料にかかる所得税は、たしかにありません。
けれども家賃には毎年5%の「住宅料」が乗り、電気・水道の請求書に毎月上乗せされます。
本記事では、公式情報をもとに「ゼロ」の中身を分解します。
そして日本と比べて、結局トクなのかまでを一緒に確かめます。
「税金ゼロ」は、どこまで本当なのか
はじめに、いちばん大事なところをはっきりさせます。
ドバイで「ゼロ」なのは、給料にかかる税だけです。
UAE(アラブ首長国連邦・ドバイはその一員)には、個人の所得税がありません。
給料も、家賃収入も、配当も、個人には課税されない。
UAE政府の公式サイトも、この点をはっきり明記しています。
日本では、給料が増えるほど税率が上がります。
いちばん高い層では45%まで引かれます(国税庁)。
この重さが無いだけでも、たしかに魅力は大きい。
ただし「税金ゼロ」と「所得税ゼロ」は、別の話です。
ドバイにも、買い物にかかる税と、住まいにかかる料金は、しっかり存在します。
出典: UAE政府公式ポータル(税制) / JETRO UAE税制 / 国税庁 所得税の税率
家賃に乗る「5%」の正体――住宅料という仕組み
いちばん見落とされるのが、この「住宅料」です。
ドバイでは、住まいを借りる人に、家賃とは別の料金がかかります。
正式にはドバイ市が定める Housing Fee、日本語なら住宅料。
金額は年間家賃の5%と決まっています。
たとえば年間の家賃が12万ディルハム(約528万円)だとします。
すると住宅料は年に6,000ディルハム、月あたり500ディルハム(約2.2万円)。
家賃とは別に、毎月2万円あまりが乗ってくる計算です。
払うのは、賃貸なら借りている人。
持ち家なら、その持ち主です。
なおUAE国籍の人は全額が免除で、外国から来た住民が対象になります。
「税金ゼロだと聞いたのに」。
この毎月の上乗せに驚く声は、移住した人の間で珍しくありません。
出典: ドバイ市 住宅料ポータル(公式) / Bayut(住宅料の解説) / Property Finder
なぜ電気・水道の請求書に混ざるのか
気づきにくい理由は、請求のされ方にあります。
住宅料は、独立した納付書では届きません。
電気・水道公社(DEWA)が毎月送ってくる請求書に、年額を12分割して上乗せされます。
だから電気代・水道代と一体で引き落とされる。
「これは税金だ」という意識が、そもそも持ちにくいのです。
ここが「ゼロ」という印象と、実際の負担がズレる正体です。
請求書には、電気代・水道代・下水道料金・住宅料・消費税(VAT)が並びます。
このうち消費税は、住宅料をのぞく各費目に5%かかります。
⚠️ 注意: 「税金ゼロ」を前提に生活費を組むと、この毎月の上乗せぶんだけ計算が狂います。移住の試算では、家賃の5%を年間コストに必ず足しておくのが安全です。
出典: DEWA 公式サイト / UAE政府公式ポータル(VAT)
日本と比べて、結局トクなのか
損得は、税の種類を分けて見ると、すっきりします。
引かれない側から見ます。
所得税は、日本が5〜45%、ドバイは0%。
給料や事業の利益が大きい人ほど、この差は大きく効きます。
かかる側も見ます。
買い物の消費税は、日本が10%(食品などは8%)、ドバイは5%。
日々の買い物にかかる税は、ドバイのほうが軽い。
足される側が、住宅料です。
日本には無い年5%の負担が、ドバイの住まいには乗ります。
| 項目 | 日本 | ドバイ(UAE) |
|---|---|---|
| 給料にかかる税 | 5〜45%(7段階) | なし |
| 買い物にかかる税 | 10%(一部8%) | 5% |
| 住まいにかかる料金 | 相当なし | 年間家賃の5% |
だから、給料や事業の利益が大きい人には、ドバイが有利に働きやすい。
一方で、収入が年金中心で、支出の多くが家賃という暮らしなら、話は変わります。
「所得税ゼロ」の恩恵は小さく、住宅料の負担だけが残ることもあるからです。
出典: 国税庁 消費税のしくみ / 国税庁 所得税の税率 / UAE政府公式ポータル(税制)
だから何?――「ゼロ」ではなく「どこにいくら」で見る
編集部の見立てを、言い切ります。
「ドバイは税金ゼロ」という一言は、移住や投資の判断材料としては危うい。
正しくは、こうです。
「所得税はゼロ。ただし消費税5%と、家賃の5%の住宅料はかかる」。
この3つを足し引きして、自分の暮らしに当てはめて、はじめて損か得かが見えます。
知人に「税金ゼロだから」と勧められたら、まず聞くことは一つです。
「どの税がゼロで、代わりに何がかかるのか」。
数字を一つずつ確かめる人が、あとで驚かずに済みます。
💡 移住前チェック: 住まいのコストは「家賃 + 家賃の5%(住宅料) + 電気・水道代 + その5%の消費税」。この式で年額を出してから決めると、あとで慌てません。
よくある質問
Q1. ドバイに移住すると、給料に税金はかかりませんか?
個人の給料にかかる所得税はありません(UAE政府公式)。ただし買い物には5%の消費税、住まいには年間家賃の5%の住宅料がかかります。「所得税ゼロ」であって「税金ゼロ」ではない、という整理が正確です。
Q2. 住宅料(5%)は誰が、どうやって払うのですか?
賃貸なら、借りている人が払います。金額は年間家賃の5%で、電気・水道公社(DEWA)の毎月の請求書に12分割で上乗せされます。UAE国籍の人は免除で、外国から来た住民が対象です。
Q3. 会社をつくった場合も税金はゼロですか?
いいえ。UAEは2023年6月から法人税を導入しました。税率は9%で、年間の課税所得のうち37万5,000ディルハム(約1,650万円)以下の部分は0%です。個人の給料とは別の話になります。
Q4. 消費税は日本より安いのですか?
税率だけを見ると、ドバイは5%、日本は10%(食品などは8%)です。日々の買い物にかかる税は、ドバイのほうが軽いといえます。
Q5. 結局、日本よりトクなのですか?
給料や事業の利益が大きい人ほど、所得税ゼロの恩恵は大きくなります。一方、収入が年金中心で支出の多くが家賃なら、住宅料の負担が効いて差は縮みます。自分の収入と支出に当てはめて計算してみるのが、いちばんの近道です。
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「制度を読み解く」シリーズは、ドバイの税や制度が「自分の暮らしにどう関わるか」を、公式情報で読み解く解説枠です。
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本記事について
- 本記事は情報提供を目的としています
- 記事内容は2026年7月6日時点のものであり、最新性を保証するものではありません
- 法令・税制は変更される可能性がありますので、最新情報は公式機関等でご確認ください
- 本記事の情報に基づく行動の結果について、当媒体は責任を負いかねます
- 記事内の円換算は1ディルハム=約44円(2026年7月上旬時点の概算)で計算しています
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