「中東で戦争が続いているのに、ドバイの不動産は大丈夫なの?」。
このところ、読者の方から一番多くいただく質問です。
結論から言います。
2026年の上半期、ドバイでは住宅の売買だけで約10兆円分の取引が成立していました。
市場は、崩れてはいません。
ただし、「崩れていない」と「安全」は、別の話です。
本記事は煽らず、楽観にも逃げず、公表されている数字だけで現状を確かめます。
いま中東で何が起きているか――事実だけを短く
本題の前に、前提を短く整理します。
ここでは安全かどうかの判断はせず、大手報道で確認できた事実だけを並べます。
米国とイランは6月17日、戦争を終わらせるための覚書に署名しました。
しかし7月上旬、海運の要所ホルムズ海峡で商船への攻撃が起き、この停戦は崩れたと報じられています。
7月11日には米国による攻撃の再開が伝えられ、交渉と衝突が入り混じった状態が続いています。
つまり、いまも「戦時下」と呼べる状況が続いています。
その渦中で、ドバイの不動産市場はどう動いたのか。ここからが本題です。
出典: CNN(2026年7月11日の報道) / ABC News(停戦決裂までの時系列)
それでも上半期、住宅の売買は約10兆円
まず、一番大きな数字から見ます。
不動産調査会社ANAROCK(アナロック)によると、2026年1月から6月のドバイの住宅取引は、総額2,257億ディルハム。
日本円にして、およそ10兆円です。
ドバイ土地局の公式データでも、土地や建物まで含めた売買全体は上半期で2,864億ディルハム・79,229件。
1日あたり平均433件の売買が、休みなく成立していた計算になります。
戦争のさなかに、です。
少なくとも「取引が止まった」という事実は、どこにもありません。
出典: ANAROCK調査を報じる大手経済メディア(inkl/Economic Times) / Khaleej Times(ドバイ土地局データ)
下がった数字と、上がった数字――両方見る
「では、まったく影響がなかったのか」というと、そうではありません。
ここは正直に、両方の数字を並べます。
下がったのは、取引の勢いです。
上半期の住宅取引額は、過去最高だった前年の同じ時期に比べて16%減りました。
また情勢が緊迫した2月から4月には、住宅価格が一時4〜7%下がったともされています。
一方で、上がった数字もあります。
平均の住宅価格は1年前と比べて6%上昇し、春先の一時的な下げをすでに取り戻しました。
そして、16%減という数字にも補足が要ります。
一昨年(2024年)の同じ時期と比べれば、むしろ15%増。
「記録的だった去年より減ったが、歴史的にはなお高い水準」というのが実際の姿です。
💡 ここまでのポイント
戦争の影響は、確かにありました。ただ、下がったのは「過去最高の去年と比べた取引額」で、価格は年間で見ればむしろ上昇。「急ブレーキ」ではなく「記録的な過熱からの減速」が、数字の示す実像です。
なぜ崩れないのか。買っているのは誰か
理由はいくつも挙げられますが、一番大きいのは「買い手が世界中から来ている」ことです。
ドバイ土地局によると、今年1月から3月に新たにドバイの不動産を買った投資家は29,312人。
前の年より14%増えました。
海外からの投資額も26%増の1,483億ディルハム(約6.5兆円)にのぼります。
ANAROCKの調べでは、2025年に住宅を買った人の国籍は150カ国以上。
最も多いのがインド(22%)、次いで英国(17%)、中国(14%)でした。
つまり、ドバイの買い手は、中東の情勢だけを見て動く人たちではありません。
世界中の人とお金の流れが支えているから、一つの地域の緊張だけでは崩れにくい。
それが今回、数字で確かめられた形です。
編集部の見立て――「崩れていない」と「安全」は別の話
最後に、編集部の立場をはっきり書きます。
数字を見る限り、「戦争でドバイ不動産は崩壊した」という見方は、事実に反します。
取引は続き、価格は上がり、買い手は増えている。ここまでは、データが示す通りです。
ただし、「だから安心して買っていい」という話には、決してなりません。
理由は一つ。
今回確かめられたのは「これまで崩れなかった」という過去の実績であって、「これからも崩れない」という保証ではないからです。
停戦の交渉はいまも不安定で、情勢が変われば、数字も変わります。
⚠️ 注意点
本記事は市場データの検証であり、ドバイへの渡航や投資の安全を保証するものではありません。情勢は日々変わります。渡航や資産の判断に関わる情報は、外務省の海外安全情報など公的機関の最新発表でご確認ください。
「崩れていない」という事実を知ったうえで、慌てず、急がず、距離を保って眺める。
いまのドバイ不動産とのちょうどいい付き合い方は、そこにあると私たちは考えます。
よくある質問
Q1. 戦争でドバイの住宅価格は下がりましたか?
一時的には下がりました。調査会社ANAROCKによると、情勢が緊迫した2026年2月から4月にかけて、住宅価格は4〜7%下落しました。ただしその後は持ち直し、上半期の平均価格は1年前より6%高い水準となっています。
Q2. 取引額16%減は、危険な兆候ではないのですか?
比較の相手が「過去最高だった2025年上半期」である点に注意が必要です。一昨年(2024年)の同じ時期と比べると15%増えており、歴史的にはなお高い水準です。減速ではあっても、崩壊と呼べる数字ではありません。
Q3. いま、誰がドバイの不動産を買っているのですか?
ドバイ土地局の公式発表では、2026年1月から3月の新規投資家は29,312人で、前年より14%増えました。ANAROCKの調べでは、2025年の買い手の国籍は150カ国以上に及び、インド(22%)・英国(17%)・中国(14%)の順でした。買い手が世界中に分散していることが、市場の支えになっています。
Q4. いまは買い時ですか?
本記事では、買い時の判断はしません。データの上では市場は崩れていませんが、停戦の交渉は不安定で、先行きは誰にも読めません。為替や手数料・空室といったコストも含め、ご自身の資産計画に照らして慎重に考えるべき局面だと、私たちは考えます。
Q5. 今後の見通しはどうなっていますか?
ANAROCKは基本シナリオとして、2026年のドバイ住宅価格は4〜7%の上昇を見込んでいます。ただしこれは情勢が大きく悪化しないことを前提にした予測であり、保証ではありません。「そういう見方がある」程度に受け止めるのが安全です。
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「投資の現在地」は、ドバイ市場のいまを、煽らず・公開データで確かめる定点観測の枠です。
本記事について
- 本記事は情報提供を目的としています
- 記事内容は2026年7月20日時点のものであり、最新性を保証するものではありません
- 中東情勢に関する記述は大手報道機関の報道に基づくものであり、状況は日々変化します
- 円換算は1ディルハム=約44円(1ドル=約162円・2026年7月時点)で計算した概算です
- 本記事は投資勧誘を目的とせず、渡航・投資の安全を保証するものではありません
- 本記事の情報に基づく行動の結果について、当媒体は責任を負いかねます
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