「毎月、家賃が振り込まれる。特に働かなくても、お金が入り続ける」。
そんな暮らしに憧れて、海外の不動産に目を向ける方が増えています。
なかでもよく耳にするのが、「ドバイなら利回り8%」という言葉。
日本の預金金利を思えば、たしかに大きな数字です。
ただ、この「8%」を、そのまま手取りだと思い込むと、話が変わってきます。
本記事は、広告に出る利回りと、手数料や空室を引いた後の”手取り”の差を、公開情報だけで整理します。
特定の物件をすすめる話は、一切しません。
そもそも「ドバイの利回り8%」は、どこの数字か
まず、利回りという言葉の中身から確かめます。
よく使われる「表面利回り」とは、1年間の家賃収入を物件価格で割っただけの、いちばんざっくりした数字です。
経費を引く前の、いわば額面の数字だと思ってください。
大手の調査によると、2026年のドバイ全体の表面利回りは、およそ6〜8%。
住まい用の集合住宅(アパート)に限ると、7%前後が平均とされています。
つまり「8%」は、市場全体で見れば平均のやや上のほう。
どこでも当たり前に8%が出るわけではありません。
出典: CBRE(UAE不動産マーケットレビュー Q1 2026) / Knight Frank(ドバイ住宅市場調査)
「表向き8%」と「手取り」は、こんなに違う
ここが、いちばん見落とされる点です。
表面利回りは、経費を一切引く前の数字。
実際に手元に残るお金(手取り)は、そこからかなり減ります。
ドバイで家を貸すと、毎年こんな費用がかかります。
建物の管理費(サービスチャージ)、貸し出しの仲介手数料、そして借り手がつかない空室の期間です。
さらに買うときにも、物件価格の4%の登録料(ドバイ土地局)や、2%ほどの仲介手数料がかかります。
購入時の諸費用だけで、価格の7〜10%を見ておくのが一般的とされています。
これらを差し引くと、表向き8%の物件でも、手取りは5%前後まで下がる、という業界の試算があります。
(この手取りの数字は公式統計ではなく、あくまで推計です。物件ごとに大きく変わります)
💡 ここだけ覚えれば十分です。
広告の利回りは「経費を引く前」の数字。
実際に手元に残るのは、そこから管理費・空室・手数料を引いた後です。表向きと手取りは、別物として見てください。
出典: ドバイ土地局 Dubai Land Department(登録料4%) / Property Finder(ドバイ購入諸費用ガイド)
高い利回りが出るエリアには、共通点がある
では、8%やそれ以上が出るのは、どんな物件でしょうか。
調査を並べると、傾向ははっきりしています。
高い利回りが出るのは、街の中心から少し離れた、価格が手頃なエリア。
逆に、有名な高級エリアほど、利回りは低くなります。
例えば、中心部のダウンタウンは表面4〜6%ほど。
一方、郊外の集合住宅地では8〜9%台の数字も報じられています。
理由は、単純です。
物件が安いぶん、同じ家賃でも利回りの計算上は大きく出る。
ただし手頃なエリアは、次に触れる空室のリスクも抱えやすい。高い数字には、たいてい理由があります。
出典: Knight Frank(エリア別・住宅市場調査) / CBRE(UAE Q1 2026)
家賃収入の3つのリスク――空室・管理費・為替
数字の裏側にある、3つのリスクを整理します。
一つ目は、空室です。
借り手がつかない月は、家賃はゼロ。それでも管理費は出ていきます。
ドバイの空室の見積もりは調査によって幅が大きく、一概には言えません。だからこそ、満室を前提に計算しないことが大事です。
二つ目は、管理費(サービスチャージ)の上昇です。
建物が古くなったり、共用の設備が増えたりすると、毎年の負担が増えることがあります。
三つ目が、日本に住む私たちに効いてくる、為替です。
ドバイの通貨(ディルハム)は、米ドルに固定されています(1ドル=約3.67ディルハム・UAE中央銀行)。
⚠️ 為替の注意: ディルハムはドルと連動するため、円高(ドル安)に振れると、家賃が同じでも、円に直したときの受取額は目減りします。利回りの数字は現地通貨での話。円で暮らす私たちの手取りは、為替でもう一段変わります。
日本の不動産と何が違うか――そして、編集部の見立て
最後に、日本との比較で位置づけます。
日本の都心のワンルームは、表面利回りで4%前後が相場とされます(不動産投資メディアの集計)。
それに比べれば、ドバイの数字は、たしかに高い。
ただ、高いのには訳があります。
値動きの振れ幅が大きく、2026年上半期は取引件数が前年より減ったとの調査もあります(価格のほうは上昇したと複数の経済紙が報道)。
利回りが高い市場は、そのぶん変動も大きいのが常です。
編集部の見立てを、はっきり言います。
「利回り8%」は、うそではありません。でも、それは”表向き・現地通貨・条件のいい物件”の話。
手取り・為替・空室を差し引いて、それでも納得できるか。
そこまで確かめてから動く人が、いちばん後悔しにくい。私たちは、そう考えます。
出典: Anarockの2026年上半期調査を報じる大手経済紙(Business Standard等)
よくある質問
Q1. 「ドバイの家賃利回り8%」は本当ですか?
数字としては、うそではありません。大手調査ではドバイ全体の表面利回りは6〜8%、集合住宅で7%前後とされ、8%は平均のやや上のあたりです。ただしこれは経費を引く前の「表面」の数字で、条件の良い物件やエリアに寄った値です。どこでも8%が当たり前に出るわけではありません。
Q2. 表面利回りと手取りは、どのくらい違いますか?
物件によりますが、業界の試算では、表面8%の物件でも管理費・空室・手数料を引いた手取りは5%前後まで下がるとされます。加えて買うときに、登録料4%や仲介手数料など、価格の7〜10%ほどの諸費用がかかります。あくまで推計ですが、「表向きの数字より手取りは小さい」という向きは押さえておくべきです。
Q3. どんなエリアが高利回りですか?
傾向としては、中心部から離れた、価格が手頃なエリアで利回りが高く出ます。中心部のダウンタウンは表面4〜6%ほど、郊外の集合住宅地では8〜9%台も報じられています。ただし価格が安いエリアは空室のリスクも抱えやすく、高い数字にはたいてい理由があります。
Q4. 日本に住みながらでも、家賃収入は受け取れますか?
仕組みのうえでは可能ですが、為替の影響を必ず受けます。ドバイの通貨は米ドルに固定されているため、円高(ドル安)に振れると、現地の家賃が同じでも円での受取額は目減りします。利回りの数字は現地通貨での話である点に、注意が必要です。
Q5. 日本の不動産と比べて、どちらが良いですか?
一概には言えません。表面利回りだけを見れば、日本の都心ワンルーム(4%前後)よりドバイのほうが高く出ます。ただしドバイは値動きの振れ幅が大きく、為替や空室のリスクも乗ります。数字の高さだけでなく、変動の大きさまで含めて、ご自身の資産計画に合うかで判断すべきです。
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「投資の選択肢」は、ドバイの投資にまつわる仕組みを、特定の商品をすすめずに公開情報で読み解く解説枠です。
本記事について
- 本記事は情報提供を目的としています
- 記事内容は2026年7月16日時点のものであり、最新性を保証するものではありません
- 利回り・価格・諸費用は市場や物件、時点により変動します。最新情報は各仲介・公的機関でご確認ください
- 「手取り5%前後」「購入諸費用7〜10%」等は業界の推計・一般的な目安であり、公式統計ではありません
- 円換算に関わる為替は日々変動します。現地通貨での利回りは、円建ての受取額とは一致しません
- 本記事の情報に基づく行動の結果について、当媒体は責任を負いかねます
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