完成前に買う「オフプラン」投資とは。売れ行き最高の裏側

完成前に買う「オフプラン」投資とは。売れ行き最高の裏側
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完成前に買う「オフプラン」投資とは。売れ行き最高の裏側

「オフプラン」とは、まだ建っていない物件を図面の段階で買う方法です。2026年上半期のドバイでは、売買件数の約7割をこの完成前物件が占め、いま最も売れている買い方になっています。頭金を抑えて分割で払える半面、引き渡しの遅れや値下がりという固有のリスクを引き受けます。本記事では、その仕組みと買い主を守る制度、公開データが示す注意点を整理します。

[アイキャッチ画像: 建設中の高層ビルとクレーンが並ぶドバイの空 / 1792×1024]

ドバイで一番売れているのは「まだ建っていない家」

2026年上半期、ドバイの不動産売買は総額2,860億ディルハム(約11兆円)を超えました。

半年間の実績として史上2番目の高さです(調査会社Wキャピタルがドバイ土地局のデータをもとに集計)。

そのうち完成前物件、いわゆるオフプランの売買は1,398億ディルハム(約5.6兆円)

件数では5万8,800件と、全体8万6,000件の約7割を占めました。

つまり、いまドバイで一番売れているのは「まだ建っていない家」です。

モデルルームと図面だけを見て、完成の2〜3年前に契約する。

日本の感覚では驚く話ですが、ドバイではこれが主流の買い方になっています。

出典: Economy Middle East(2026年7月・ドバイ土地局データにもとづくW Capital集計) / Arabian Business

仕組みは「先に契約、あとから完成」。頭金は1〜2割から

オフプランの仕組みは、住宅の予約販売にたとえると分かりやすいです。

開発会社が「この場所に、こんな建物を建てます」と発表し、買い主は完成を待つあいだ、代金を少しずつ払っていきます。

現地の大手仲介会社の解説によると、頭金は物件価格の5〜20%が一般的です。

その後は「工事中に6割・引き渡し時に4割」のような分割方式が主流で、引き渡しの後も数年かけて払い続ける方式まであります。

完成済みの物件を一括で買うのに比べ、最初に用意するお金が小さくて済む。

これがオフプラン人気の一番の理由です。

なお契約の際は、ドバイ土地局へ物件価格の4%の登録料を納め、「オクード」と呼ばれる完成前物件専用の仮登記を行います。

この登録があるから、完成前でも「誰がどの部屋を買ったか」が公的に記録されます。

出典: Betterhomes(オフプランの支払い方式の解説) / Engel & Völkers(オクード登録の解説)

買い主のお金は「専用口座」で守られている

「お金を払ったのに、建物が建たなかったらどうなるのか」。

これが一番の心配だと思います。ドバイはこの不安に、法律で答えを用意しています。

2007年のドバイ首長国法律第8号、通称エスクロー法です。

エスクローとは、買い主が払ったお金を開発会社へ直接渡さず、監督付きの専用口座で預かる仕組みを指します。

この法律では、開発計画ごとに専用口座を分けることが義務です。

口座のお金はその建設工事にしか使えず、開発会社の借金のカタに差し押さえることもできません(第9条)。

さらに、建物が完成した後も代金の5%は1年間、口座に留め置かれます(第14条)。

無許可で開発を行った者は、10万ディルハム(約400万円)以上の罰金や懲役の対象です(第16条)。

💡 ポイント: ドバイ土地局の公式サイトには、開発計画の登録状況や工事の進み具合を確認できるページがあります。「勧められた話」を、自分の目で照合できる国だということです。

出典: ドバイ政府 法令ポータル「2007年法律第8号」原文%20of%202007.html) / ドバイ土地局 公式サイト

それでも残る3つのリスク。数字は正直です

制度が整っていても、リスクはゼロになりません。

公開データが示す注意点は3つあります。

1つ目は、引き渡しの遅れです。

英大手不動産会社ナイトフランクの調査では、2022〜24年に予定どおり完成した住宅は約6割でした。

2025年は1〜9月で46%まで下がっています。「予定より1〜2年待つ」ことは珍しくないのが実態です。

2つ目は、完成する頃の値下がりです。

格付け会社フィッチは2025年、「2026年にかけてドバイの住宅価格は最大15%下がる可能性がある」との見方を示しました。

理由は供給の急増で、2026年だけで約12万戸の引き渡しが予定されているためです。

ドバイの住宅価格は2022年からの3年余りで約6割上がりました。

「買った時より安い値段で完成を迎える」可能性は、数字の上では十分にあり得ます。

3つ目は、換金のしづらさです。

完成前の権利を手放すには、次の買い主を自分で見つける必要があります。

周辺で似た部屋が一斉に完成する時期は売り物が増え、買い手探しは難しくなります。

日本円で暮らす方には、為替の動きも円換算の損益を大きく揺らします。

| 注意点 | 数字が示す実態 | 出どころ |

|—|—|—|

| 引き渡しの遅れ | 予定どおりの完成は2022〜24年で約6割、2025年1〜9月は46% | ナイトフランク |

| 値下がり | 2026年にかけて最大15%下落の可能性 | フィッチ(2025年時点の見立て) |

| 換金しづらさ | 2026年だけで約12万戸が引き渡し予定 | フィッチの報道 |

⚠️ 注意: 「工事の遅れ」は、先ほどの専用口座制度の守りの外側にあります。お金が消える事態は防ぎやすくなっても、時間が延びる損失までは補償されません。

出典: Knight Frank(ドバイ住宅市場レビュー 2025年第3四半期) / Economy Middle East(フィッチの見通し報道)

だから何?――オフプランは「安く始める」ではなく「時間を差し出す」取引

編集部の見立てを言い切ります。

オフプランは「頭金が少なくて済むお得な買い方」ではありません。

「完成までの時間を差し出す代わりに、値段と支払い条件の柔軟さを受け取る取引」です。

判断の物差しは2つに尽きます。

2〜3年の待ち時間を、生活に響かせずに待てるか。

遅れても、値下がりしても、老後の設計が崩れないか。

退職金のような「減らせないお金」で、待ち時間の長い取引に入るのは順番が違います。

「知人に勧められたから」ではなく、ドバイ土地局の登録を自分で確かめてから。

それが、この売れ行きの裏側を知った上での歩き方だと私たちは考えます。

よくある質問

Q1. オフプランとはどういう意味ですか?

建物の完成前に、図面や模型の段階で売り出される物件のことです。買い主は完成までのあいだ代金を分割で払います。2026年上半期のドバイでは、売買件数の約7割を占めました。

Q2. 工事が止まったら、払ったお金は戻ってきますか?

ドバイでは法律により、買い主の支払いは開発計画ごとの専用口座で管理されます。計画が完成できない場合は、監督機関の関与のもとで完成を図るか、預けた人への返金を図ると定められています。ただし手続きには時間がかかることがあり、全額が即座に戻る保証ではありません

Q3. 最初にいくら必要ですか?

現地の大手仲介会社の解説では、頭金は物件価格の5〜20%が一般的です。別途、ドバイ土地局への登録料として物件価格の4%がかかります。

Q4. 完成済みの物件と、どちらが安全ですか?

完成済みは実物を見て買え、すぐ貸したり住んだりできます。オフプランは少ない頭金で始められる半面、遅れと値下がりの不確かさを引き受けます。「安全さ」を優先するなら完成済みから考える、というのが素直な整理です

Q5. 日本に住んだまま買えますか?

外国人の購入が認められた地区であれば、日本に住んだまま買うこと自体は可能です。ただし現地の登記・税務・海外送金の手続きが伴うため、契約前に公式の情報源で最新の条件を確認してください。

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「投資の選択肢」シリーズは、ドバイ系の投資にどんな種類があるのかを、公開情報だけで公平に整理する解説枠です。

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