ドバイ不動産、「買わずに投資」する方法はある?

ドバイ不動産、「買わずに投資」する方法はある?
この記事は約10分で読めます。

「ドバイの不動産は勢いがあるらしい」。

そう聞いても、数千万円を出して一室を買うのは、簡単な話ではありません。

実は、物件そのものを買わずに、ドバイの不動産に関わる方法があります。

代表が「REIT(リート)」。不動産の詰め合わせに、市場を通じて投資する仕組みです。

本記事では、ドバイ市場に上場するREITの顔ぶれを、同じ物差しで並べます。

そして「日本から買えるのか」という一番の現実問題まで、公開情報だけで確かめます。

「一棟・一室を買う」だけが道ではない

ドバイ不動産の話は、たいてい「物件を買う」ことが前提になっています。

けれども現物の購入には、まとまったお金が要ります。

海外の名義手続きや、買ったあとの管理もついてきます。

「興味はあるが、そこまでは」という方が多いのは自然なことです。

一方で、不動産に「株式市場を通じて」関わる道があります。

不動産の詰め合わせであるREIT、不動産会社の株式、少額から持ち分を買う小口化サービスなどです。

この記事では、そのうち情報が最も公開されている上場REITを中心に見ます。

取引所と規制当局の監督下にあり、値段と運用報告が誰でも確認できるからです。

REITとは。「不動産の詰め合わせパック」で理解する

REITとは、大勢の投資家から集めたお金でオフィスや住宅をまとめて持ち、家賃収入などを投資家に分配する仕組みです。

1口単位で買えるので、現物のように数千万円は要りません。

実は日本にも同じ仕組みがあります。

「J-REIT」と呼ばれ、東京の市場に57銘柄、時価総額は約14.6兆円あります(2025年3月時点・日本取引所グループ)。

ドバイのREITも発想は同じです。

ただし市場の規模は、日本よりずっと小さい。

そしてもう一つ、多くが「シャリア準拠」——利子を避けるなどイスラム法のルールに沿った運用——という特徴があります。

出典: 日本取引所グループ J-REIT Guide Book

ドバイ市場に上場する3つのREIT。同じ物差しで並べる

ドバイには取引所が2つあります。

地元色の強いドバイ金融市場(DFM)と、国際仕様のナスダック・ドバイです。

そこに上場する主なREITは、次の3つです。

銘柄 上場先・上場年 規模(円換算目安) 分配方針 主な注意点
Emirates REIT ナスダック・ドバイ / 2014年(湾岸初) 総資産 約12.2億ドル(約2,000億円)※2025年9月末 市況により変動 2021年前後に借入金(イスラム債)の返済問題が報道。2024年12月に借り換えで解決
ENBD REIT ナスダック・ドバイ / 2017年 純資産 約2.4億ドル(約390億円)※2025年9月末 年2回・利益の80%以上を分配する方針 規模が小さく売買が少ない
Dubai Residential REIT ドバイ金融市場 / 2025年5月 時価総額 約143億ディルハム(約6,300億円)※上場時 年2回・利益(評価損益を除く)の80%以上 政府系Dubai Holdingが85%を保有

いちばん新しいDubai Residential REITは、住宅3万5,700戸を運用する住宅特化型です。

株式公開の際は個人投資家枠が10%と報じられ、2025年は1口あたり8.5フィルス(約3.7円)が分配されました。

監督役もはっきりしています。

ナスダック・ドバイ上場の2銘柄はDIFC金融サービス機構(DFSA)、ドバイ金融市場の上場銘柄はUAEの資本市場庁(CMA・2026年1月に旧証券商品庁から改組)の規制下にあります。

3銘柄を合計しても、日本のJ-REIT市場の1割にも届きません。

「仕組みは同じでも、市場の厚みがまるで違う」——これがドバイREITの現在地です。

出典: Nasdaq Dubai(Emirates REIT) / Emirates REIT 投資家情報 / ENBD REIT公式 / Dubai Holding(上場発表) / Gulf News(個人投資家枠) / AGBI(2025年分配実績)

日本から買えるのか。ここが一番のハードル

結論を先に言います。

日本の証券口座で、今日すぐには買えません。

ドバイの取引所で売買するには、現地の投資家番号(NIN)を取り、現地の認可ブローカー(証券会社)に口座を開く必要があります(ドバイ金融市場公式)。

外国人でも手続き自体は可能ですが、書類も画面も基本は英語です。

そして編集部が2026年7月に確認した範囲では、SBI証券・楽天証券・マネックス証券の外国株ラインアップに、UAEの取引所は含まれていませんでした。

「買わずに投資」の道は存在するのに、日本からの入口が細い。

これがドバイREITの、いまの正直な姿です。

もう一つ、忘れてはいけないのが税金です。

日本に住んでいる限り、海外で受け取った分配金にも日本の税金がかかり、確定申告が必要になります。

現物購入と比べて、結局どうなのか

同じ物差しで、3つの道を並べます。

物差し 現物の物件 上場REIT 小口化サービス
最低金額の目安 数千万円〜 1口数円〜数百円(ただし現地口座が前提) 500ディルハム(約2.2万円)〜
換金のしやすさ 買い手探しに数か月 市場で売却可。ただし売買は薄い サービス内での売却に制限あり
手間 名義手続き・管理が続く 現地口座の開設が最大の壁 口座開設は比較的簡単(英語)
監督役 ドバイ土地局 DFSAまたはCMA DFSA認可(Stake、SmartCrowd等)

小口化サービスとは、1つの物件を大勢で分けて持つ仕組みです。

ドバイにはDFSA認可の事業者があり、500ディルハム(約2.2万円)程度から使えます。

ただし物件を選ぶ目利きは結局自分に求められ、売りたいときにすぐ売れない点は現物と似ています。

編集部の見立てを言い切ります。

「買わずに投資する」道は、たしかに存在します。

しかし日本に住む個人にとって、入口のハードルはむしろ現物より高い面すらあります。

それでも、この仕組みを知る価値は大きい。

取引所で値段が毎日つき、運用報告が公開される「物差し」を知っていれば、知人から持ち込まれる話を測る基準になるからです。

💡 この記事の使い方「ドバイ不動産で増える」という話を聞いたら、一度こう尋ねてみてください。「取引所に上場しているREITと比べて、何が有利なんですか?」。値段と報告が公開されている物差しと比べられない話は、その時点で慎重になってよいサインです。

出典: Bayut(小口化サービス比較) / Stake公式 / SmartCrowd公式

よくある質問

Q1. REITとは何ですか?

大勢の投資家から集めたお金で不動産をまとめて持ち、家賃収入などを分配する仕組みです。1口単位で買えるため、現物購入のようなまとまった資金は要りません。日本の「J-REIT」と同じ発想です。

Q2. ドバイのREITは日本の証券会社で買えますか?

編集部が2026年7月に確認した範囲では、SBI証券・楽天証券・マネックス証券ではUAEの取引所に上場する銘柄を扱っていません。買うには現地の投資家番号(NIN)と、現地認可ブローカーの口座が必要です。

Q3. 分配金はどのくらい出ていますか?

銘柄と年によって異なります。たとえばENBD REITとDubai Residential REITは「利益の80%以上を年2回分配する」方針を公表しています。ただし利益が減れば分配も減ります。将来の金額は約束されていません。

Q4. 上場しているなら安全ということですか?

「安全」ではなく「公開されている」が正確です。Emirates REITは2021年前後に借入金の返済問題が報じられました(2024年12月に借り換えで解決)。上場していても値下がりも経営の波もあります。公開情報で確認できることが、非公開の話との違いです。

Q5. 少額から試せる方法はありますか?

ドバイにはDFSA認可の不動産小口化サービスがあり、500ディルハム(約2.2万円)程度から使えます。ただし手続きは英語で、換金にも制限があります。「少額=手軽」ではない点にご注意ください。

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「投資の選択肢」シリーズは、ドバイ系の投資にどんな種類があるかを、公開情報だけで公平に整理する解説枠です。

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  • 記事内の円換算は1ディルハム=約44円、1米ドル=約162円(2026年7月上旬時点の概算)で計算しています

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