「日本の銀行に預けても増えない。でも、損はしたくない」。
この二つを両立させたいと考えたとき、多くの方が行き着くのが「国債」です。
会社ではなく、国にお金を貸す。だから、いちばん堅いと言われてきました。
そのUAE(アラブ首長国連邦)の国債が、いま年4%台で回っています。
ほぼ0%に近い日本の国債とは、比べものになりません。
本記事は「年4%台」の中身をUAE財務省の公表数字で確かめ、「日本に住んだまま買えるのか」に答えます。
先に結論を申し上げると、答えは「いまのところ、開いていません」。理由まで正直に書きます。
「国債」とは、国にお金を貸すこと
国債とは、国が発行する借用証書のことです。
私たちが国にお金を貸し、決まった時期ごとに利息を受け取り、満期になったら元のお金が返ってくる。これが基本の形です。
なぜ「堅い」と言われるのか。
お金を返す相手が、会社ではなく国だからです。
会社はつぶれることがありますが、国が借金を返せなくなる事態は、それより起きにくい。
ここが、前回とりあげたドバイの定期預金との違いです。
定期預金は「銀行に預ける」。国債は「国に貸す」。
返してくれる相手が、そもそも違うのです。
実際の利回りは、年4.03%と4.30%
推測を挟まず、UAE財務省が公表した数字を示します。
2026年5月の入札で決まった利回りは、年4.03%と年4.30%。
前者は2027年9月満期、後者は2031年1月満期のものです。長く貸すほうが高くなります。
このときの発行額は11億ディルハム(約490億円)。
集まった申し込みは47億4,000万ディルハム(約2,100億円)で、4.3倍の人気でした。
中東情勢が不安定な最中でも、これだけの買い手がついたのです。
この利回りは、同じ満期のアメリカ国債より最大0.14%高いだけでした。
つまり市場は、UAEの国債をアメリカ国債とほぼ同じくらい堅いと見ている。これが年4%台の根拠です。
出典: UAE財務省(2026年5月の国債入札結果・2026年5月23日発表)
4万円台から買える枠組みが、2026年にできた
ここまでは金融機関が入札で買う世界の話。個人には縁のない場所でした。
ところが2026年、UAEは個人向けの入口を初めて開きました。
最低1,000ディルハム(約4万4千円)から、国が発行する証券を直接買える枠組みです。
6月24日から30日まで申し込みを受け付け、7月1日に発行されました。
利回りは年4.30%で2年間固定。半年ごとに、合計4回に分けて受け取ります。
ただし、ここは正確に書きます。
この枠組みは厳密には「国債」ではなく「スクーク」と呼ばれるものです。
イスラムの教えでは利息のやり取りが認められないため、利息の代わりに「収益の分配」という形をとります。
国が発行する点は同じですが、建て方と呼び名が違う。利息のないイスラム金融の回でも触れた仕組みです。
もう一つ、銀行を通じて既に発行済みの分を小口で買う道もあります。
こちらは最低4,000ディルハム(約18万円)から。取り扱うのは現地の5行です。
| 入口 | 最低投資額 | 利回りとその根拠 | 換金のしやすさ | 主なリスク | 規制・監督 |
|---|---|---|---|---|---|
| 個人向けスクーク(2026年6月初回) | 1,000ディルハム(約4万4千円) | 年4.30%・2年固定(財務省公表の条件) | 上場済み。満期前に売れるが買い手の保証なし | 売却価格の変動・為替 | UAE財務省(中央銀行と共同設計) |
| 銀行を通じた小口化(既発分) | 4,000ディルハム(約18万円) | 既発分の市場価格に連動 | 取扱銀行の画面で売買可 | 売却価格の変動・為替・手数料 | UAE財務省の枠組み(取扱5行) |
| 国債そのものの入札 | 個人向けの最低額は公表なし | 年4.03%〜4.30%(2026年5月入札の確定値) | ナスダック・ドバイに上場 | 売却価格の変動・為替 | UAE財務省 |
出典: UAE財務省(個人向けスクークの制度概要・対象投資家) / Gulf News(初回発行の条件・年4.30%・最低1,000ディルハム)
日本に住んだまま買えるのか——ここが本題です
結論から書きます。
いまのところ、日本にお住まいの方は、この個人向けの枠組みを使えません。
申し込みの条件は、UAEの国籍か、UAEの居住ビザとエミレーツID(現地の身分証)を持っていること。
そのうえで、ドバイの証券取引所が発行する投資家番号も要ります。
銀行を通じた小口化も、同じくエミレーツIDが必要です。
つまりどちらの入口も、「UAEに住んでいる人」に開かれた扉なのです。
では、すでに発行された分を市場で買う道はどうか。
これらはナスダック・ドバイという取引所に上場され、満期を待たずに売買されています。
ただし日本の証券会社を通じて日本の個人が買えるかどうかは、調べた範囲では確認できませんでした。
「おそらくできる」とも「できない」とも書きません。確かめられていない、が正直なところです。
出典: UAE財務省(対象となる投資家の条件) / Gulf News(申し込み方法と対象者)
⚠️ 注意: もし「UAEの国債が年4%で買える」と持ちかけられたら、利回りより先に確かめてください。どのルートで、誰の名義で買うのか。他人や仲介業者の名義でまとめて買う形は、あなたの財産として守られない恐れがあります。UAE財務省の公式な個人向け枠組みは、現地に住むご本人名義での申し込みが前提です。
為替という関門、そして編集部の見立て
仮に入口が開いていても、もう一つ関門が残ります。為替です。
UAEのお金(ディルハム)は、米ドルと固定の交換比率で結ばれています。
だから日本に住む私たちから見れば、実質「米ドルと円」の値動きを受けます。
年4.30%の利回りがついても、その2年で円が4%以上値上がりすれば、円に戻したとき手元は増えません。
「ドルと固定だから安定している」のは、あくまでドルから見た話。円から見れば、しっかり波を受けます。
出典: UAE中央銀行(政策金利3.65%の据え置き・米ドル連動)
編集部の見立てを、はっきり書きます。
UAEの国債は、あやしい話ではありません。年4%台の利回りも、4.3倍の申し込みも、UAE財務省が自ら公表した事実です。
ただ、その数字と、日本に住む私たちが手を伸ばせる範囲は、一致していません。
数字が本物であることと、自分が買えることは、別の話です。
だから「UAEの国債で年4%」という話を聞いたら、利回りではなく入口を尋ねてください。
そこに答えられない話なら、いったん引く。それが慌てない構えだと私たちは考えます。
よくある質問
Q1. UAEの国債の利回りは、何%ですか?
UAE財務省の公表では、2026年5月の入札で2027年9月満期が年4.03%、2031年1月満期が年4.30%でした。アメリカ国債より最大0.14%高いだけの水準です。利回りは入札ごとに変わるため、最新の数字は公式発表でご確認ください。
Q2. 個人でも買えますか? いくらからですか?
2026年に個人向けの枠組みが初めて用意されました。最低1,000ディルハム(約4万4千円)から買え、初回は年4.30%・期間2年・半年ごとに4回受け取る条件。このほか銀行を通じて既発分を最低4,000ディルハム(約18万円)から小口で買う道もあります。
Q3. 日本に住みながら買えますか?
いまのところ、使えません。申し込みには、UAEの国籍か、UAEの居住ビザとエミレーツID(現地の身分証)、さらにドバイの証券取引所が発行する投資家番号が必要です。銀行経由の小口化も同様です。すでに発行された分を日本の証券会社を通じて買えるかどうかは、確認できていません。
Q4. 「国債」と「スクーク」は何が違うのですか?
どちらも国が発行しますが、お金の受け取り方が違います。国債は利息を受け取る形。いっぽうスクークは、イスラムの教えで利息のやり取りが認められないため、利息の代わりに「収益の分配」という形をとります。2026年の個人向けは、こちらでした。
Q5. 満期前に売れますか? 元のお金は戻りますか?
これらの証券は取引所に上場されており、満期を待たずに売ることはできます。ただし買い手がいるとは限らず、売れる値段は相場しだい。買ったときより値下がりしていれば、元のお金を下回ることもあります。満期まで持てば条件どおりに戻る設計ですが、途中で売る場合は別だとお考えください。
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本記事について
- 本記事は情報提供を目的としています
- 記事内容は2026年7月30日時点のものであり、最新性を保証するものではありません
- 利回りは入札ごとに変わります。最新の条件はUAE財務省の公式発表でご確認ください
- 2026年6月の個人向け発行は6月30日で受付終了。次回以降の有無・条件は公表されていません
- すでに発行された分を日本の証券会社経由で購入できるかどうかは、公式情報で確認できていません
- 税の扱いは個人の所得状況で変わります。実際の申告可否・税額は税務署・税理士にご確認ください
- 円換算は1ディルハム=約44.5円(2026年7月下旬)で計算しており、為替により変動します
- 本記事は特定の金融商品・金融機関の利用をすすめるものではありません
- 本記事の情報に基づく行動の結果について、当媒体は責任を負いかねます
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本記事について
- 本記事は情報提供を目的としています。
- 記事内容は2026年8月3日時点のものであり、最新性を保証するものではありません。
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