7月に、ドバイの部屋を年単位で貸して家賃を得る話を書きました。
その隣に、もうひとつの貸し方があります。
旅行者に1泊単位で貸す、いわゆる民泊です。
「同じ部屋なのに、旅行者に貸すほうが儲かるらしい」。
そう聞くと、いい話に思えます。
ただ、この貸し方には年単位の賃貸にはない条件がついています。
役所の許可が要ります。
宿泊税を毎月納めます。
保険にも入り続けなければなりません。
今回は、その手間の中身を具体的に見ていきます。
利回りの話はしません。
先に、避けて通れない費用と手続きの方を並べます。
年単位で貸す場合と、何が違うのか
まず、性質が違います。
年単位の賃貸は「住まいを貸す」行為です。
1泊単位で貸すのは、法律の目から見ると宿泊業に近い扱いになります。
この違いは、税の扱いにはっきり出ます。
UAEの付加価値税(VAT)の規則では、ホテルアパートやサービスアパートは「住宅」の定義から外されています。
外されている以上、住宅賃貸の非課税は適用されません。
つまり、短期で貸す部屋の売上には5%の付加価値税がかかります。
年単位で住宅として貸していれば、この税はかかりません。
同じ部屋でも、貸し方を変えると税の区分が変わるということです。
ただし、税の登録が必要になるのは課税売上が年375,000ディルハム(約1,600万円)を超えたときです。
小さく1戸だけ運用している段階では、すぐに届く数字ではありません。
出典: UAE VAT執行規則 第37条(2)に関するDeloitteの解説 / PwC Tax Summaries(UAE)
ドバイでは許可制。1戸ごとに許可を取る
次に、入口の話です。
ドバイで部屋を短期で貸すには、ドバイ経済観光庁(DET)の許可が要ります。
大事なのは、許可が部屋ごとだということです。
同じ持ち主が3戸持っていれば、許可も3つ要ります。
「1戸だけだから届出はいらない」という扱いは、ありません。
物件そのものにも条件があります。
アパートの場合、権利証に書かれた用途が「住宅」でなければなりません。
また、購入時の売買契約で短期貸しが禁じられている物件は、そもそも対象外です。
ここは意外と見落とされます。
買ってから「この建物は短期貸しができない」と分かる例があるためです。
⚠️ 注意点
「ドバイの物件を買って民泊にすれば高い利回りが出る」と勧められた場合、その物件の権利証の用途と、売買契約に短期貸しの禁止条項がないかを先に確かめてください。買った後では変えられない条件です。
許可にかかる費用は、寝室の数で決まる
費用の話に入ります。
許可の手数料は、部屋の広さや家賃ではなく寝室の数で決まります。
内訳はこうなっています。
| 項目 | 金額(ディルハム) | 円換算(約) |
|---|---|---|
| 寝室1室につき | 300 | 12,900円 |
| 分類証明書 | 50 | 2,150円 |
| 知識料 | 10 | 430円 |
| 革新料 | 10 | 430円 |
| 最低額(寝室1室の場合) | 370 | 15,900円 |
| 年間の上限 | 1,200 | 51,600円 |
正直に申し上げると、この金額自体は障害になりません。
寝室1室で年1万6千円程度。
上限でも5万円台です。
許可期間は3か月から12か月まで選べて、期間の長短で金額は変わりません。
短く取っても得にならない仕組みなので、通常は長く取ることになります。
効いてくるのは、お金より「続く手間」
では何が負担なのか。
毎月と毎年、途切れずに続く作業の方です。
ひとつめが宿泊税です。
ドバイでは2014年の執行評議会決議で、宿泊施設が客から宿泊税を取ることが定められています。
民泊の場合、上級(Luxury)に分類された部屋は1室1泊15ディルハム、標準(Standard)なら10ディルハムです。
これは持ち主の収入ではありません。
客から預かって、翌月の16日より前に役所へ納めるお金です。
毎月です。泊まりがゼロの月があっても、この手続きの担当者は要ります。
ふたつめが保険です。
ドバイで免許を持つ保険会社の総合保険に入る必要があります。
客のけがや物損をまかなう内容で、許可の期間中ずっと有効でなければなりません。
みっつめが検査です。
経済観光庁は安全基準を満たしているか物件を検査します。
指摘を受けた場合、2週間以内に直す必要があります。
💡 ここまでのポイント
短期貸しの本当のコストは、許可料ではありません。毎月の納税事務・保険の維持・検査対応という「終わらない事務」です。年単位の賃貸なら1年に1度で済んでいたものが、月次の作業に変わります。日本から遠隔で持つ場合、この事務を誰がやるのかが最初に決まっていなければ成り立ちません。
出典: ドバイ法令ポータル 2014年執行評議会決議第2号%20of%202014.html) / Gulf News(2025年10月14日)
誰に向き、誰に向かないか
ここで立場を申し上げます。
日本に住んだまま、自分で短期貸しを回すのは現実的ではありません。
理由は1つです。
客は毎日入れ替わり、鍵の受け渡し・清掃・不具合の対応は現地でしか起きないからです。
時差のある場所から、深夜のトラブルには出られません。
そのため、実際には運営代行会社に任せることになります。
すると、家賃収入から代行の取り分が引かれます。
その率は契約しだいで、公表された相場と呼べるものはありません。
契約前に必ず書面で確かめる部分です。
向いているのは、現地に人がいる方、あるいは代行に任せたうえで手取りが年単位の賃貸を上回ると計算できた方です。
向いていないのは、「利回りが高いらしい」という一言だけで判断しようとしている方です。
年単位で貸す道は、手間が少ない代わりに収入も一定です。
1泊単位で貸す道は、収入が伸びる可能性がある代わりに、事務と費用がずっとついてきます。
どちらが上ということはなく、続けられる方を選ぶ話だと私たちは考えます。
よくある質問
Q1. 1戸だけでも許可は必要ですか?
必要です。許可は物件ごとに取る仕組みで、戸数が少ないことによる免除はありません。同じ持ち主が複数戸を短期で貸す場合は、その数だけ許可が要ります。許可を取らずに貸し出すことは認められていません。
Q2. 許可にはいくらかかりますか?
寝室1室につき300ディルハムに、分類証明書50ディルハム、知識料と革新料が各10ディルハムを加えた額です。寝室1室なら最低370ディルハム(約1万5,900円)、年間の上限は1,200ディルハム(約5万1,600円)です。許可期間は3か月から12か月まで選べ、期間で金額は変わりません。
Q3. 宿泊税は持ち主が負担するのですか?
いいえ、宿泊客から預かるお金です。ドバイの2014年執行評議会決議で定められており、民泊は上級で1室1泊15ディルハム、標準で10ディルハムです。預かった分は翌月の16日より前に役所へ納めます。負担は税額そのものではなく、毎月の納付事務です。
Q4. 年単位で貸す場合と、税の扱いは同じですか?
違います。長期の住宅賃貸は付加価値税の対象外ですが、短期の宿泊はUAEの規則で「住宅」の枠から外れており、5%の付加価値税がかかります。ただし税の登録義務が生じるのは課税売上が年375,000ディルハム(約1,600万円)を超えてからです。
Q5. 日本に住んだままでも運用できますか?
実務としては運営代行会社に任せることになります。清掃・鍵の受け渡し・深夜の対応は現地でしか処理できないためです。代行の取り分は契約ごとに異なり、公表された相場はありません。手取りを計算するときは、この取り分と毎月の事務まで含めて見積もってください。
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「投資の選択肢」は、ドバイ関連の投資にどんな種類があるのかを、公開情報だけで公平に整理する枠です。
本記事について
- 本記事は情報提供を目的としています
- 記事内容は2026年8月20日時点のものであり、最新性を保証するものではありません
- 許可の条件・手数料・税制は変更される可能性があります。最新情報はドバイ経済観光庁(DET)および公式法令でご確認ください
- 円換算は1ディルハム=約43円(2026年8月時点)で計算した概算です
- 本記事は特定の物件・運営代行会社・投資商品を推奨するものではありません
- 本記事の情報に基づく行動の結果について、当媒体は責任を負いかねます
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本記事について
- 本記事は情報提供を目的としています。
- 記事内容は2026年9月11日時点のものであり、最新性を保証するものではありません。
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