利息のない銀行で「預けて増やす」。ドバイのイスラム金融とは

利息のない銀行で「預けて増やす」。ドバイのイスラム金融とは
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「銀行に預けても、日本ではほとんど増えない」。

そう感じている方に、ときどき届く話があります。

「ドバイの銀行なら、年4%や5%で増えるらしい」。

数字だけ見ると、たしかに魅力的です。

ただ、この「増える」の中身は、日本の預金とは少し違う仕組みでできています。

本記事は、利息の考え方が違う「イスラム金融」の預け先を、公式情報で噛み砕きます。

特定の銀行や商品をすすめる話は、一切しません。

日本の「利息」が、ドバイの一部の銀行にない理由

まず、大前提から始めます。

ドバイには、「利息」という考え方を使わない銀行があります。

イスラムの教えに基づくルール(シャリア)で運営される銀行です。

この教えでは、お金を預けたり貸したりするだけで、時間の経過とともに決まった額が増えること――つまり利息――を認めていません。

国際通貨基金(IMF)の解説でも、儲けは「リスクを引き受けることの見返り」であるべきで、時間だけで生まれる確定した増分は不当、という考え方が背景にあると説明されています。

では、利息を使わずに、どうやってお金を増やすのか。

その答えが、次の「利益の分け前」という仕組みです。

出典: IMF ワーキングペーパー(イスラム金融の概観・2015)

「利益の分け前」という考え方

イスラム金融の預け先は、ざっくり言えば「銀行と一緒に運用して、儲けを分け合う」仕組みです。

代表的なのが、出資に近い形です(専門的には「ムダーラバ」と呼ばれます)。

あなたがお金を預け、銀行がそれを教えに反しない事業や資産で運用する。

そこで出た利益を、あらかじめ決めた割合で分け合います。

もう一つ、銀行に運用を代理でお願いする形もあります(「ワカーラ」と呼ばれます)。

このとき銀行は「これくらい増える見込みです」という利率(期待利益率)を示します。

ただし、これは約束された利息ではなく、あくまで見込みです。

日本の言葉に置き換えると、定期預金にあたるものが「投資性の預金」、普通預金にあたるものが「貯蓄口座」。

名前は預金でも、中身は”運用の分け前”に近い、と覚えてください。

💡 ここが日本との一番の違いです。

日本の定期預金は「利息が確定」。

ドバイのイスラム金融は「利益の見込みを示すが、確定ではない」。似て見えて、約束の重さが違います。

出典: Dubai Islamic Bank(預金商品の説明)

直近の「見込みの利率」は、どのくらいか

では、実際の数字を見ます。

ドバイ最大級のイスラム銀行(Dubai Islamic Bank)が公表する期待利益率は、2026年時点で、預ける期間に応じておよそ年3.7〜4.5%

1年ものでは4.5%前後とされています。

別の銀行では、キャンペーンで年5%ほどを掲げるところもあります。

日本の定期預金と比べれば、たしかに大きな数字です。

ただし、ここで大事な注意があります。

これらは「これくらい増える見込み」であって、確定した利息ではありません。

銀行自身が「期待利益の支払いを保証するものではない」と明記しています。

過去に実際に分けられた利益が、掲げられた見込みより低かった、ということも起こり得ます。

出典: Dubai Islamic Bank(期待利益率・保証しない旨の記載) / Emirates Islamic(貯蓄口座の提示利率)

元本は保証されるのか――ここが誤解の核心

いちばん誤解されやすい点を、正面から書きます。

利益を分け合う形(ムダーラバ)の預け先は、その建て付け上、元本は保証されません

儲けが出れば分け前が入り、運用がふるわなければ、理屈のうえでは預けたお金が減ることもあり得ます。

「利益はリスクと表裏一体」という教えが、そのまま形になっているためです。

一方で、安心材料もあります。

UAE(アラブ首長国連邦)には、銀行が万一破たんしても、預金者一人・一行あたり10万ディルハム(約440万円)までを守る預金保護の制度がある、とされています。

ただし、この制度が”利益を分け合う型の預金”まで同じように守るかどうかは、公式の細かい規定を直接確認できませんでした。

つまり「元本保証」という日本の感覚を、そのまま持ち込まないこと。

これが、この仕組みに向き合ううえでの、いちばんの心得です。

⚠️ 注意: 「年4〜5%で増える」という見込みの数字と、「元本は保証されない」という建て付けは、セットで理解してください。高い見込みだけを見て、日本の定期預金と同じ安全さを期待するのは危険です。

出典: UAE中央銀行(銀行規制・預金保護制度) / 円換算は1ディルハム=約44円(2026年7月時点)

日本に住みながら使えるのか――そして、編集部の見立て

最後に、私たちの暮らしとの距離を確かめます。

現地に住んでいない外国人でも、口座を開ける銀行はあります。

ただし多くの場合、開設には現地への訪問が必要で、まとまった預け入れ(数百万円規模)を求められることもあります。

スマホだけで完結、とはいきにくいのが実情です。

参考までに、ドバイのイスラム金融は、規模の面では確かな存在感があります。

UAEの銀行資産のおよそ4分の1を占め、最大手は2026年上半期も安定した利益を出したと報じられています。

仕組みそのものが、あやしいわけではありません。

編集部の見立てを、はっきり言います。

イスラム金融は、「利息のない、まっとうな金融」の一つの形です。

ただ、日本に住む私たちにとっては、”見込みの利率”と”元本保証なし”、そして”現地手続きの手間”という三つが壁になります。

数字の高さだけで飛びつかず、この三つを分かったうえで眺める。それが、慌てない構えだと私たちは考えます。

出典: AGBI(Dubai Islamic Bank 2026年上半期決算・2026年7月15日)

よくある質問

Q1. なぜドバイの一部の銀行には「利息」がないのですか?

イスラムの教えに基づくルール(シャリア)で運営されているためです。この教えでは、お金を預けたり貸したりするだけで時間とともに決まった額が増えること(利息)を認めていません。代わりに、銀行と一緒に運用して儲けを分け合う仕組みでお金を増やします。

Q2. 「利益の分け前」とは、どういう仕組みですか?

あなたが預けたお金を銀行が教えに反しない事業や資産で運用し、出た利益をあらかじめ決めた割合で分け合う仕組みです。出資に近い形(ムダーラバ)や、銀行に運用を代理でお願いする形(ワカーラ)があります。日本の定期預金にあたるものは「投資性の預金」と呼ばれ、中身は運用の分け前に近いものです。

Q3. 直近の利率は、どのくらいですか?

ドバイ最大級のイスラム銀行の公表値では、2026年時点で預ける期間に応じておよそ年3.7〜4.5%、1年もので4.5%前後の「期待利益率」が示されています。銀行によってはキャンペーンで年5%ほどを掲げる例もあります。ただしこれらは「増える見込み」であって、確定した利息ではありません。

Q4. 元本は保証されますか?

利益を分け合う形の預け先は、建て付け上、元本は保証されません。運用がふるわなければ、理屈のうえでは預けたお金が減ることもあり得ます。UAEには一人・一行あたり10万ディルハム(約440万円)までの預金保護制度があるとされますが、利益を分け合う型の預金まで同じように守るかは公式規定を直接確認できませんでした。日本の「元本保証」の感覚は持ち込まないのが安全です。

Q5. 日本に住みながら利用できますか?

現地に住んでいない外国人でも口座を開ける銀行はあります。ただし多くの場合、開設には現地への訪問が必要で、数百万円規模のまとまった預け入れを求められることもあります。スマホだけで完結、とはいきにくいのが実情です。手間とハードルは、あらかじめ見込んでおくべきです。

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「投資の選択肢」は、ドバイの投資にまつわる仕組みを、特定の商品をすすめずに公開情報で読み解く解説枠です。

本記事について

  • 本記事は情報提供を目的としています
  • 記事内容は2026年7月16日時点のものであり、最新性を保証するものではありません
  • 期待利益率・提示利率は各行が随時見直します。実際に分けられる利益は見込みと異なる場合があります。最新情報は各行公式でご確認ください
  • 預金保護制度の対象範囲(利益分配型の預金が含まれるか)は、UAE中央銀行の公式規定を直接確認できていません。実際の利用前に公式確認をおすすめします
  • 円換算は1ディルハム=約44円(2026年7月時点)で計算しており、為替により変動します
  • 本記事の情報に基づく行動の結果について、当媒体は責任を負いかねます

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